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2003年6月 4日 (水)

修学旅行の生徒からもらったお土産


「こんにちは!どちらから?」
 修学旅行の生徒たちが先日大徳寺の境内を歩いていたので、すれ違いざまに声をかけた。女子中学生の3人連れだった。
 「私たち、静岡からです。」
 「静岡?いいところねえ。あたたかくって。」

 彼女たちはくったくなく笑った。少しはにかんだような笑顔が可愛らしかった。一人が手提げ鞄の中から何かを取り出して私に手渡そうとした。
 「あの、これ使ってください。」

 15センチ四方のクリーム色の紙袋だ。見ると「ビタミンいっぱい さがら茶」と書いたシールが貼ってあった。時代劇に出るような「茶々丸くん」というキャラクターが茶とかかれた大きな湯飲みを差し出しているイラストがある。

 「あら、頂いていいの?ありがとう。」
 私はうれしくなって礼を言った。これまで修学旅行の子ども達に出会った時私はいつも話しかけるのが常であった。みんなでお茶を飲みなさいと小遣いを上げたことだってある。「京のぶぶづけ」の噂が有名になりすべての京都人をそう思われてはかなわないという気持ちだった。

 次の日の朝、主人の前で私はきのうもらったばかりのサンプルのお茶を急須に入れた。丁度2回分の煎茶が入っていた。袋の裏には「静岡県相良町茶業振興協議会」の名と電話番号が印刷されていた。その新茶を飲みながら主人は言った。

 「…そうか。親が勤めているのかもしれんな。旅先で世話になった礼にもと親が持たせてやったのかもしれん。まあ親孝行の子どもじゃぁないか。」
 「おいしいお茶だこと!あとで電話して注文してみようかしら。」
 
 もしもし、と私は電話口でいきさつを話した。担当の方(男性)のおっしゃるには、この土地に約900人の中学3年生がいるので、町の宣伝のために1個づつ修学旅行地へ持って行ってもらっている。それでよくお礼の電話も貰っています、と。

 価格は100グラム千円だという。近くの茶店で買うお茶と同じ値段だけれどこちらのほうが美味しいようにと私は思った。静岡の煎茶は宇治と製法が異なり深蒸しだということである。そのうち注文するかもしれない。

 漱石は茶の中では玉露が好きであったことは有名である。抹茶はどうもご縁がなかったようだ。『草枕』にはその一節がある。
 画像はなでしこと紅額(ベニガク)、あの子たちに重ねてみた。




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