署名 落款(らっかん)
アメリカの前大統領クリントンの夫人が本を出版してサイン会を催したという。ウェブのニュースでは次のように報じている。
「米上院議員のヒラリー・クリントンさんが夫のクリントン前米大統領との半生をつづった回想録「リビング・ヒストリー」が9日、全米で発売された。初版だけで100万部という「冒険」だが、発売記念のニューヨークでのサイン会には前夜から並んだ人も含め数百人が列を作り、ヒラリー人気を裏付けた。」
その本の内容もクリントンの不倫問題が赤裸々に書かれているそうだし、何もかも度肝を抜くような話。
「初版の印税などとして、800万ドル(約9億4千万円)を受け取る契約を出版社と交わしているという」ところまで、もう日本とはケタが違っている。
こちらはチマチマした実話になるけれども、私は作家の出版記念のサイン会に並んでサインをしてもらったことが2、3度 あった。歴史小説の女流作家は某ホテルで。余りにも有名な尼僧の作家はデパート7階の催し会場だった。後者は買い物の時たまたま出くわしたのだ。
ハードカバーの扉のページに毛筆ペンで署名する手つきは手馴れたものだった。歴史小説のほうは出版社の部長さんが落款の印を押す役目であった。売り上げに貢献するこうした読者サービスも現代はますます盛んになってきた。
漱石の署名は風格があることで定評がある。印の篆刻(てんこく)まで吟味し、署名の筆跡にはたいへん気を遣った。彼が京都の宿に滞在し、京都という字を入れた落款を、今日の画像とさせていただきたい。
日付からこれがいつ頃のものか専門家には分かっていると思う。
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