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2003年12月12日 (金)

鎌倉漱石の会 冬日のなかに


 12月9日の漱石忌を前にして7日の日曜日に開催される鎌倉漱石の会に参加するために、私は前日から大船の宿舎に滞在していた。
 京都を離れるのは一年のうち数えるほどしかないがご縁の有り難さ、鎌倉もうでのこの行事は私にとって欠かせないものになった。

 先ずホテルから東慶寺にお電話して井上禅定さまのご都合をお伺いする。電話に出られた方から「じつはきのう転んで骨折され入院されています。」との思いがけないお知らせ。10月には長年連れ添われた夫人に先立たれたばかりと知ったところだった。まことにおいたわしい。

 しかし、禅定さまのことだ。持ち前の平常心で時間がたてば回復されることだろう。心からご快癒をお祈りしたい。

 翌7日の朝8時半には東京からミモザさんがホテルまで来て下さりごいっしょに朝食をとる。

 雨もようで寒かった前日と打って変わり、この日は陽射しもやわらかく円覚寺境内を幸せな気分で帰源院へと歩く。漱石会会員の方々が黙々と山門への石段を登って行かれる。落ち着いた雰囲気をもつ方々だ。

 本堂に坐って、ご住職が作られた恒例の甘酒を早々と頂戴することにした。前々回だったか遠慮して最後にミモザさんと手を出したところ品切れでガッカリ。今回帰源院和尚さまお手製の甘酒はあったかくていいお味だった。 

 午前・午後とも研究者のそれぞれご専門の講話で、漱石の留学時代の作品と手紙、フランスと英国に絞られたもの。いつもながら学生にかえった気分で聞かせていただく。

 本堂でなく庭の腰掛で静かに聞き入っている会員の方々。こうした不変の読者に恵まれた作家は日本で何人有るだろう。

 大正5年12月1日、漱石は病臥の床で「香をたいてほしい」と鏡子夫人に頼んでいる。夫人は「梅ヶ香」をたいてやりました、と『漱石の思い出』には書かれている。私はその光景をふっと思い浮かべた。

 茶道で炉の季節に用いる練香にその「梅ヶ香」の香名がある。私は帰源院のご住職に手土産にもと持参していたが、ついにお渡しする機会もないまままた京都に持ち帰ってしまった。

 100年後の今、漱石先生はこのようにして、香をたいてもらっているのである。冬日のなかに、こころ厚い多くの読者によって!
 今日の画像は帰源院の本堂と庭での昼食時である。
 

 



 

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