命を張って主人を救った犬 ナナ
「愛犬ナナ:6日ぶり見つかる、けがなく無事 南アルプス 毎日新聞 2004年6月20日 20時44分」
という毎日ウェブの記事が目に飛び込んできた。思わずよかったと声をあげ、明るいニュースに今私はごきげんになっている。その話というのはこうだ。
山梨県南アルプスの峠で13日、下山途中の自営業、三上浩文さん(43)が、前方のクマザサのやぶから飛び出してきた体長約80センチのクマに襲われた。
足でけるなど抵抗したが、手足をかまれ血だらけ。しかし連れていた愛犬「ナナ」が激しくほえて走り出したため、クマはナナを追って走り去った。
この記事がウェブに出てからというもの、ナナの安否を気遣い救援を望む声が日に日に高まった。尤も犬は熊に食われたのではないかとの予想もあったが、生存の期待のほうがはるかに大きかった。
人間界ではこうした美談が出ると、どうも素直には受け取られない。けれど動物の場合ならあるがままに伝わるのがいい。
「ナナには総理大臣になって欲しい!」などど巨大ウェブ掲示板で書き込みが出てくるのも微笑ましく見てしまう。
人間なら出生の善し悪し、学歴、肩書きなどが幅をきかすようだが、動物はもっと純真な生きものだ。もと捨て犬だったナナは5歳の雌。拾われてからは山登りで主人と行動を共にした同志でもあった。
過去の記事を辿ると次のようになる。
「甲斐駒ケ岳や八ケ岳にも一緒に登っている。」と三上さんは話した。
そして、「恩返しをしてくれた」と涙ぐみ、ナナの帰宅を待っている。」(毎日新聞)[6月14日20時32分更新]
昔、忠犬ハチ公は銅像になった。現代の若い人たちにはこちらのナナのほうがわかり易いのではなかろうか。
といって、犬もネコも動物が主人を想うことには変わりはない。
ヘクトーという犬を飼って犬好きな面があった漱石。平成の多難な時代の、こうしたエピソードは荒らしの中の静けさのようにも思われてくる。
今日の画像はトラノオ、虎の尾とかけば動物になるがやさしい草花である。
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