アテネオリンピック 女子柔道
日本各地では大雨から風水害が起きている。いつも被害を免れる京都はつくづく幸運な土地だと思う。堤防や河川の管理がいいということかも知れない。
昔の京は、「鴨川の水と坊主には勝てない」といわれたと聞くけれど、今日では水のほうはなんとか克服しているのではなかろうか。そうした日々の中で、人々はアテネオリンピックのテレビ観戦を楽しんでいる。
わが家ではスポーツに熱中することはあまりない。私はオリンピックの柔道に興味があって観たくらいである。その自分が日本女子柔道の活躍にはただただ感動した。レスリングまがいのjyudoではなく、伝統の技である1本を勝ち取った複数の選手たち。中でも谷本、上野、阿武さんらは金メダル以上の感動を送ってくださった。
まことにそれは大多数の日本人が共有した喜びであった。
女性の美しさは外面でないことを如実に示したいさぎよい姿。その飾り気のない愛らしい笑顔!オンナだてらにという古来のけなし言葉がまったく色褪せたすばらしい女性美だと私は思った。
「仏性に男女なし」とは、私が師事した禅の師家T老師が昔仰った言葉である。私はありがたくその問答を思い起こした。
また、勝負ごとを好まなかった舅は厳格な家父長であった。そうした教育を受けた父の子供たちは皆地道な学究の道を選び、夫も勝ち負けには離れたところで生きてきた。今もなお、一喜一憂をするな、と私に教えてくれる人である。
漱石は明治大正に生きたが、やはり勝負ごとを好まなかった文豪であろう。弟子たちに自らの真摯な生き方を身をもって示したが、決して他との競争を強いることはなかった。漱石のいう自己本位は、自己を克服することを教えたものであった。
今日の画像はなににすべきであろうか。書斎の机の前で憩うともなく座している漱石先生の、声なき声を聞こうと思う。
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