ウクライナを救った日本の招き猫
キエフといえば、京都市の姉妹都市である。キエフ市街には公園や並木道が多く、緑地が市面積の大半を占めることから「森の都」といわれている。私がこの話を知った時分はソ連の一都市であった。
1958年(昭和33年)、駐日ソ連大使が京都を訪問。京都市長にキエフとの提携を提案し、翌年キエフ市長から正式に申し込みがあった。その後約10年間にわたって、友好関係が深まり、1971年(昭和46年)姉妹都市結成宣言を行ったという。
ところが今や、キエフはウクライナの首都である。1991年、旧ソ連邦から独立したのがウクライナであった。それに伴い民衆の意識が従来の政治にNOを主張し始めた。ウクライナ大統領選やりなおし投票が行われ、これまでのロシア寄りの政権は敗退した。
しかし、すさまじい陰謀・策略があったことは歴史に残る。親欧米派の野党候補ユシチェンコ氏は9月、政府関係者に招かれた夕食会のあと体調を崩し、ウィーンの病院に緊急搬送された。顔が腫れあがり別人のごとく人相が変わっていた。
検査の結果、ほぼ1千倍にあたる高濃度のダイオキシンが検出されたというニュースには、古今東西、政治の恐ろしさを思い愕然とするのである。ただ、そのなかに、ほっとするような嬉しいエピソードがあった。
大統領選のやりなおし決選投票で、日本の招き猫をあしらったポスターが3万3000カ所の投票所に張られた。ポスターの猫がウクライナ語で「私は公正な選挙に賛成です。あなたは?」と問いかけ、投票所に「手招き」している。
費用の450万円は日本政府の草の根無償援助を使い、在ウクライナ日本大使館と現地の非政府組織(NGO)が共同で製作したと、ニュースは伝えていた。
招き猫のポスターにはウクライナ語で「家庭に幸運を呼び込む日本のお守りです」と説明がついている。なんと気が利いた国際交流であろうか!
西洋ではとかく猫を悪魔の使いだとか偏見をもったようだが、この度の日本猫の活躍ぶりはどうだ!
とにかくウクライナは新生への道を踏み出したのだ。自由とパンを求める民衆の期待に是非とも新大統領は応えていってほしい。
日本猫をいつくしむ日本人の心も、捨てたものではない。
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