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2006年8月22日 (火)

『坊っちゃん』の碑 漱石作詞「源兵衛」の童謡

Bcchanhi

漱石が書いた童謡って、ご存知でしたか。

    源兵衛が 練馬村から    
  大根を  馬の背につけ   
  お歳暮に 持て来てくれた   

  源兵衛が 手拭でもて
  股引の  埃をはたき
  台どこに 腰をおろしてる

  源兵衛が 烟草をふかす   
  遠慮なく 臭いのをふかす  
  すぱすぱと 平気でふかす 

  源兵衛に どうだと聞いたら
  さうでがす 相変らずで
  こん年も  寒いと言った

  源兵衛が 烟草のむまに 
  源兵衛の 馬が垣根の      
  白と赤の 山茶花を食った 

    源兵衛の 烟草あ臭いが
  源兵衛は 好きなぢゝいだ
  源兵衛の 馬は悪馬だ

 

   岩波「漱石全集」より


この詩にはテンポのいい曲がつけられているそうで、松山市の或る銀行の合唱団によって披露されたのです。
松山、道後温泉の側に漱石「坊ちゃんの100年祭」の記念碑ができたのは、ことしの4月。お知り合いのさんごさんからお知らせいただいたのでした。テレビでも新聞でも報道されました。

 「夏目漱石(1867~1916)の小説「坊っちゃん」発表から100年になるのを記念し、 小説の舞台とされる松山市で29日、記念碑の除幕式があった。」 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060430k0000m040030000c.html

これは漱石研究の団体である、「松山坊っちゃん会」が建立して松山市に寄贈したとのことです。会長をなさっている頼本冨夫様とは私も私信を交わしたことがありますので、蔭ながらよろこんでいました。
「松山坊っちゃん会」坊っちゃんニュース

さんごさんはこのお盆にふるさとの松山へ行かれ、記念碑の写真を撮って送ってくださいました。拙サイトPhotoBBSでその写真を見ることができます。

「これから色々漱石の関連の公園になるという敷地の一角に一番に出来たのがこの記念碑です。まだトイレとこの碑だけでした。」

その写真には、漱石の顔の写真と坊ちゃんの書き出しの文章が書かれたとてもシャレた記念碑があって、これに漱石の詩に曲がつけられた「童謡」のCDがあればなぁ~と、思ったものです。まあ、ふとどき者の欲ではありますが(笑)。

除幕式の日に漱石の童謡が歌われたそうです。
坊ちゃん会の依頼で伊予銀行の合唱団の方が漱石の詩の合唱曲を初披露されたそうですが、じつはさんごさん、この合唱団に昔いらしたことがあったのです。

実は昔(50年くらい前)に私もこの合唱団に居たことがありました、といわれ、それもその筈、さんごさん松山東高校(旧制松山中学)のご出身ですから、そうしたつながりがあるのは頷けますね。

記念碑は高さ1.7メートル×幅0.6メートルの黒御影(みかげ)石製。
道後温泉本館東側に 市が整備中の休憩所内に建てられています。小説冒頭の5行の自筆原稿と漱石の肖像を描き、 碑文は地元出身の作家、早坂暁さんが揮ごうしたということです。

漱石は1895年から1年間、松山市に英語教師として滞在しました。「坊っちゃん」はこの経験を 元に書かれたとされる小説なのですね。

この漱石の詩に今回あらたな曲がつけられた『童謡』について、元松山東高校教諭の頼本冨夫会長は、こう述べられたとのことです。
「読み継がれてきた小説のように、長く親しまれてほしい」

それにしても、漱石のこの詩、なんとも素朴な味がありますねえ。漱石はこの源兵衛という馬子には愛着があったようです。小説のなかの名場面に登場させているくらいですから。

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