炉には、地摺り(じずり)の羽を
茶道には炭点前というものがあります。
炭点前には、風炉と炉とそれぞれ手前と用具の使い方に違いが出てまいります。
羽箒(はぼうき)は、鳥の羽で作られたものを清める茶の用具です。古くから鳥の羽は塵埃(じんあい)に染まらない清浄なものとされました。炭点前の際、風炉の場合と炉の場合、羽箒も作り方が変わります。
さて、今は炉の時期ですから皆さまは炭点前をなさる時、羽箒はどのようなものかご存知でしょう。炉縁(ろぶち)から五徳、畳、さらに席中を掃き清めるのに使用されるのをご覧になっていることと思います。
ここに茶道の古典である『凌雲帳』を、ご紹介させていただきます。表千家の貴重な書物で裏千家の点前も共通するものです。
小西酒造株式会社運営のウェブサイトより引用。
凌雲帳 地の巻
「一 羽箒(はぼうき)
羽箒(はぼうき)には、左羽(ひだりばね)、右羽(みぎばね)、双羽(もろは)、掃込(はきこみ)の四種あり。
羽(はね)は鶴(つる)、雁(がん)、鷲(わし)、梟(ふくろ)、野雁(のがん)、等を用ふれども、鶴を最上とす。
野雁(のがん)は臺子に必要なり。掃込(はきこみ)は白鳥(はくちやう)を用ふ。羽箒は總て新しきがよし」
右羽(みぎはね)は風爐の本勝手、爐の向切(炭の逆勝手)に用ふ。
左羽(ひだりばね)は爐の本勝手、臺目、隅爐、逆勝手及風爐の逆勝手に用ふ。
双羽(もろは)は中央の羽にて、左右廣狹(こうきよう)なきものなり爐、風爐、左右何れにも用ひ得るものなり。
掃込は運び點前に限り用ふるものにて、左右二つあれども、左右の勝手、爐、風爐共右羽のみを用ひ、羽の兩側を用ひて差支なし。
男女共炭點前の後には必ず、使用した疊の上を膝をついて掃き込むべし。但し蹈込(ふみこ)み疊と道具疊とを合せて、一間半以内の席のみに用ふ。
羽箒(はぼうき) まとめ
●炉縁の周囲、炉壇の上、五徳の爪や風炉などを清めるために掃くもの。
●三つ羽と一枚羽がある。一枚羽は真の羽箒として、炉、風炉共に使用。
●三つ羽は行・草に。炉用は左羽(向って左が広い)もの。風炉用は右羽(向って右が広い)ものを使用する。
風炉用、炉用、裏千家では利休道歌にあるものが踏襲されています。先ず、炭点前に関する利休道歌を見てみましょう。
◇
炭置くはたとへ習ひにそむくとも
湯のよくたぎる炭は炭なり
客になり炭つぐならばそのたびに
薫物などはくべぬことなり
炭つがば五徳はさむな十文字
縁をきらすな釣合をみよ
焚え残る白炭あらば捨ておきて
また余の炭を置くものぞかし
炭おくも習ひばかりにかかはりて
湯のたぎらざる炭は消え炭
崩れたるその白炭をとりあげて
又焚きそへたることはなきなり
風炉のとき炭は菜籠にかね火箸
ぬり香合に白檀をたけ
風炉の炭見ることはなし見ぬとても
見ぬこそ猶も見る心なれ
客になり風炉のそのうち見る時に
灰崩れなん気づかいをせよ
客になり底取るならばいつにても
囲炉裡の角を崩し尽すな
炉の内は炭斗瓢柄の火箸
陶器香合ねり香としれ
いにしへは名物などの香合へ
直にたきもの入れぬとぞきく
羽箒は風炉に右羽よ炉の時は 左羽をば使ふとぞ知る
ありました、ありました。「風炉に右羽 炉の時は 左羽」 ですね。
さて、その心は。
その意味がなんのことかわからしませんでした、私には。
右が広い羽のほうが風炉の場合。左がせまい羽箒が炉用にと決められていますね。
私はこのことが分からないままでしたが、今日、ご宗家の稽古で寺○業躰先生に質問して一つの解答をいただいたのです。
86歳の最長老の先生ならではの、貴重なおことばでした。
「あのなあ、鳥に聞いてご覧。」
「鳥のことばがわかりませんので、寺○先生から聞きたいですね。」
「鳥が羽ばたいてる羽を見てみ。上に広げてるのが広い羽やろ。
下、地面に摺れている羽は狭いところや。それを地ズリの羽というたもんや。
ジズリの羽は強いし、だから炉は地摺りの羽箒を使えと昔からいうたもんなんや。」
ということでございました。忘れない内に覚書としてしたため、ご披露いたしますね。
今日は次の間で大炉のお稽古。私はしんがりで薄茶をさせていただきました。
炭点前には、風炉と炉とそれぞれ手前と用具の使い方に違いが出てまいります。
羽箒(はぼうき)は、鳥の羽で作られたものを清める茶の用具です。古くから鳥の羽は塵埃(じんあい)に染まらない清浄なものとされました。炭点前の際、風炉の場合と炉の場合、羽箒も作り方が変わります。
さて、今は炉の時期ですから皆さまは炭点前をなさる時、羽箒はどのようなものかご存知でしょう。炉縁(ろぶち)から五徳、畳、さらに席中を掃き清めるのに使用されるのをご覧になっていることと思います。
ここに茶道の古典である『凌雲帳』を、ご紹介させていただきます。表千家の貴重な書物で裏千家の点前も共通するものです。
小西酒造株式会社運営のウェブサイトより引用。
凌雲帳 地の巻
「一 羽箒(はぼうき)
羽箒(はぼうき)には、左羽(ひだりばね)、右羽(みぎばね)、双羽(もろは)、掃込(はきこみ)の四種あり。
羽(はね)は鶴(つる)、雁(がん)、鷲(わし)、梟(ふくろ)、野雁(のがん)、等を用ふれども、鶴を最上とす。
野雁(のがん)は臺子に必要なり。掃込(はきこみ)は白鳥(はくちやう)を用ふ。羽箒は總て新しきがよし」
右羽(みぎはね)は風爐の本勝手、爐の向切(炭の逆勝手)に用ふ。
左羽(ひだりばね)は爐の本勝手、臺目、隅爐、逆勝手及風爐の逆勝手に用ふ。
双羽(もろは)は中央の羽にて、左右廣狹(こうきよう)なきものなり爐、風爐、左右何れにも用ひ得るものなり。
掃込は運び點前に限り用ふるものにて、左右二つあれども、左右の勝手、爐、風爐共右羽のみを用ひ、羽の兩側を用ひて差支なし。
男女共炭點前の後には必ず、使用した疊の上を膝をついて掃き込むべし。但し蹈込(ふみこ)み疊と道具疊とを合せて、一間半以内の席のみに用ふ。
羽箒(はぼうき) まとめ
●炉縁の周囲、炉壇の上、五徳の爪や風炉などを清めるために掃くもの。
●三つ羽と一枚羽がある。一枚羽は真の羽箒として、炉、風炉共に使用。
●三つ羽は行・草に。炉用は左羽(向って左が広い)もの。風炉用は右羽(向って右が広い)ものを使用する。
風炉用、炉用、裏千家では利休道歌にあるものが踏襲されています。先ず、炭点前に関する利休道歌を見てみましょう。
◇
炭置くはたとへ習ひにそむくとも
湯のよくたぎる炭は炭なり
客になり炭つぐならばそのたびに
薫物などはくべぬことなり
炭つがば五徳はさむな十文字
縁をきらすな釣合をみよ
焚え残る白炭あらば捨ておきて
また余の炭を置くものぞかし
炭おくも習ひばかりにかかはりて
湯のたぎらざる炭は消え炭
崩れたるその白炭をとりあげて
又焚きそへたることはなきなり
風炉のとき炭は菜籠にかね火箸
ぬり香合に白檀をたけ
風炉の炭見ることはなし見ぬとても
見ぬこそ猶も見る心なれ
客になり風炉のそのうち見る時に
灰崩れなん気づかいをせよ
客になり底取るならばいつにても
囲炉裡の角を崩し尽すな
炉の内は炭斗瓢柄の火箸
陶器香合ねり香としれ
いにしへは名物などの香合へ
直にたきもの入れぬとぞきく
羽箒は風炉に右羽よ炉の時は 左羽をば使ふとぞ知る
ありました、ありました。「風炉に右羽 炉の時は 左羽」 ですね。
さて、その心は。
その意味がなんのことかわからしませんでした、私には。
右が広い羽のほうが風炉の場合。左がせまい羽箒が炉用にと決められていますね。
私はこのことが分からないままでしたが、今日、ご宗家の稽古で寺○業躰先生に質問して一つの解答をいただいたのです。
86歳の最長老の先生ならではの、貴重なおことばでした。
「あのなあ、鳥に聞いてご覧。」
「鳥のことばがわかりませんので、寺○先生から聞きたいですね。」
「鳥が羽ばたいてる羽を見てみ。上に広げてるのが広い羽やろ。
下、地面に摺れている羽は狭いところや。それを地ズリの羽というたもんや。
ジズリの羽は強いし、だから炉は地摺りの羽箒を使えと昔からいうたもんなんや。」
ということでございました。忘れない内に覚書としてしたため、ご披露いたしますね。
今日は次の間で大炉のお稽古。私はしんがりで薄茶をさせていただきました。
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