或るクラッシックの歌曲がいま国民的なヒット曲になっています。
ご存知、「千の風になって」という歌曲、秋川雅史さんが歌っています。
http://www.youtube.com/watch?v=gDMtEIse1eI&mode=related&search=
昨年暮、紅白歌合戦をたまたま見ていましたら、ありましたありました!
う~~ん、よかったですねえ。聞き惚れましたよ。
秋川さんの風姿も、すばらしい歌声とあいまってとても爽やかです。
この曲はNHKの番組では作者不詳となっていましたが、それは事実ではありませんでした。
東京新聞の放送芸能 のカテゴリに、やはり作者不詳という記事が掲載されています。
「英語原詩で作者不詳『千の風になって』 喪失の悲しみ癒やす
記者の山田晴子さんは記事を次のような言葉で結んでいます。
「原詩も、世界中で読み継がれてきた。米中枢同時テロで亡くなった十一歳の少女の一周忌で朗読され、IRA(アイルランド共和軍)のテロで命を落とした二十四歳の青年が「私が死んだときに開封してください」と両親に託した手紙の中にも、この詩が入っていた。
昨年十一月にはNHKの衛星ハイビジョンで、詩が広く知れ渡った軌跡などをたどる「千の風になって」の特集が放送された(12月にNHK総合でも放送)。番組では、女優の木村多江をナビゲーターに、世界中の人々が「千の風になって」を通じて、身近な人の死をどう受け止めてきたのかを、詩の朗読や曲を合間に流しながら紹介。電話などで寄せられた感想が千件を超える反響だったという。NHKは二十五日、衛星ハイビジョンで午前十時から再放送する。
番組担当の山本展也チーフプロデューサーは「死をどうやって受け止めたらいいのか、この歌は、その方向性を示してくれる存在。この歌を求めている人たちがまだまだたくさんいると思う」とブームのさらなる広がりを予測している。」
しかし、ネットからは更に貴重な情報を得ることができました。
「千の風になって」の詩の原作者について執筆:オーママミア Quinn
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/prof/1000winds.html
この詩を書いたのは、メアリー・フライというアメリカ人の女性だったのです。
メアリーの地元ラジオ局でのインタビューより
「メアリー・フライは家庭的で、常識があり快活な94歳のようだ。
これはメアリーが自身の言葉で語った親友マーガレット・シュワルツコフ(Margaret Schwarzkopf)の事である。
時は1932年に遡る──
「そうね、マーガレット(ドイツ系ユダヤ人)はドイツから来たの。ちょうどヒットラーが政権を取ってね、お母様も国外に出たかったんだけど、老齢の上、具合も悪くて来れなかったのよ。彼女はそれこそ何時もお母様の事を心配していたわ。何しろ全然手紙が来ないのよ、だから日ごとに心配を募らせていたわ。
私たち大使館を通してできる限りのことをしたわ。わかるでしょ? その手の事って。ようやく事が判明したんだけど、お母様は亡くなってたの。それで、マーガレットは実際に神経衰弱を患ってただ泣くばかり。毎日、毎日泣き暮らしていたわ。
ある日一緒に買い物に出たの、茶色の紙袋に買ったものを入れて、家のキッチンテーブルで仕分けをしていたのよ。そしたらね、何だか分からないけど、私の買ったものを見てマーガレットが泣き出したの。「それ、私の母が好きだったの。」ってね。
「マーガレット、お願いだから泣かないで。」っていったの。そうしたらマーガレットがね、「何が一番悲しいかって、私は母の墓標の前に立ってさよならを告げる事も出来ないのよ( I never had the chance to stand at my mother's grave and say goodbye.)。」涙に目をぬらしたまま、2階の自室にひきこもったわ。
(注;ドイツの情勢が反ユダヤ人に向かっており、帰れる状況ではなかった。)
その時メアリーの手には、買物を点検するためのペンが握られていた。メアリーは、引きちぎった茶色の買物袋に、一息に込み上げる詩を書き付けた。
しばらくして、落ち着きを取り戻したマーガレットが階下に下りてきたとき、メアリーはマーガレットに紙切れを差し出した。「これ、私が書いた詩なの。私の思う〝人の生と死のあり方〟なの。あなたのためになるかどうか分からないけど。」
マーガレットは詩を一読し、メアリーを抱きしめて言った。「私この詩を一生大切にするわ。」そして、もう泣く事は無かった。」
◇
インタビューのテープの中で、何故メアリーの詩がここまで愛されるに至ったか、彼女が本当に困惑している様子が伺えます。
そして、明らかになった事実は、この詩になんら著作権が設定されていない事です。この詩が人々の共有財産であるため、彼女は一銭の報酬も受けていないのです。
この件についてメアリーは、次のように話しています。
「この詩は私だけのものじゃないの、皆のものよ。今でもそう思うの。これは、愛や安らぎについて書いたのよ、もし私がお金を受け取ったりしたら、意味が無くなるわ・・・。多分、いかれてるんでしょうね。」
ドイツからこの詩の原文を見たお友だちの方がこう述べています。
歌を聴いた時に少し感じた違和感も1932年にメアリーが書いたオリジナルバージョンを読むと、スッと気持ちの中に入ってきました。
Do not stand at my greave and weep
Words by Mary Frye
Do not stand at my grave and weep
I am not there, I do not sleep
I am in a thousand winds that blow
I am the softly falling snow
I am the gentle showers of rain
I am the fields of ripening grain
I am in the morning hush
I am in the graceful rush
Of beautiful birds in circling flight
I am the starshine of the night
I am in the flowers that bloom
I am in a quiet room
I am in the birds that sing
I am in the each lovely thing
Do not stand at my grave and cry
I am not there I do not die
千の風になって
オーママミア訳詞
私の墓標の前で泣かないで
私はそこにいないのだから 私は眠ってなんかいない
私は千の風になって渡ってゆく
私はやわらかく 舞い降りる雪
私は優しく降り注ぐ雨
私は野に実る穂
私は朝の静寂の中に
私は水辺にたなびく灯心草
空を旋回する美しい鳥たちとともに
私は夜空の星の光
私は咲き誇る花たちとともに
私は静かな部屋の中に
私は歌う鳥たちとともに
私は全ての素晴らしいものとともにあるの
だから、私の墓標の前でなかないで
私はそこにいないの 私は死んではいないのだから
◇
オーママミア Quinn 様。
JanJanの記者をなさっていた木走(きばしり)様。
ドイツのがんばるHiromba。様。
参考にさせていただきました。ありがとうございます。
◇◇◇
反響 この記事を読んで
ミクシイで私が管理しているコミュがあります。いつの間にか6千300人近い会員数になり会員同士のコメントも活発に行われています。その一部をここでご披露いたしましょう。
■がんばるHiromba。 2007年01月21日
わびすけさん
こちらではご無沙汰しています<m(__)m> ドイツ在住のがんばるHiromba。です。
素晴らしい歌のご紹介ありがとうございました。
国内では分らないと思いますが、ご紹介戴いたアドレス・・・「お客様がお使いのIPアドレスは、国内のIPアドレスではございませんので、ご利用いただけません。」という表示が出てしまいますので(^_^;) 下記、ご紹介。
http://www.youtube.com/watch?v=gDMtEIse1eI&mode=related&search=
こちらは海外からでも視聴できます。
番組では作者不詳となっていますが、わびすけさんの紹介されたサイトも素晴らしいですね。
歌を聴いた時に少し感じた違和感も1932年にメアリーが書いたオリジナルバージョンを読むと、スッと気持ちの中に入ってきました。
■ハレのはは 2007年01月22日
私もこの曲を聴いたとき少し違和感を感じました。
それは、歌手の映像と一緒にTVの画面に流れる「墓」とか「死」など目に飛び込んでくる「漢字」のせいだと今思います。
翻訳の曲を作る時、日本語の歌詞はどうしても短くそぎ落とさなければならなくなるので、しょうがないですね。
オリジナルの詩と翻訳は本当に素敵ですね。
特に英語の詩は美しく韻を踏んでいて、口に出して読むと曲がついていなくても充分美しいですね。
原文を教えていただきありがとうございました。
けれども、日本語の歌も、それはそれでメロディーも歌詞も、シンプルで美しく私は好きです。
この歌に携わった全ての方達の暖かい思いが詰まっているように思えます。
■わびすけ 2007年01月22日
ルソンさんはお出かけのようですね。
皆さま、コメントうれしく拝見しております。
ただ今、拙ブログを更新したところです。
はい、ここでの話し合いのもようも一部入れてますけれど、著作権を厳しくいう方々ではないので安心してま~~す。
2007年1月22日 (月)
著作権を放棄したメアリーの詩 「千の風になって」
http://tsubakiwabisuke.cocolog-nifty.com/rendezvous/
http://rendezvou.exblog.jp/
いかがでしょう?
■ルソン 2007年01月22日
○がんばるHiromba。様へ
ドイツでこの問題は,現在もタブーになっていると思われます。が,意外と旧東ヨーロッパの人たちではユダヤ人への迫害が残ったままだったように記憶しています(1994年時点)。
大陸国家にとって民族同志の戦いは,常に大きな悲劇を生むでしょうから,いつまでたっても解決できない問題なのだと想像しています。その意味では昨今のEUの東方への拡大によって90年代の旧ユーゴスラビアの悲劇を避けることが可能になれば良いと日本から希望を持ってみています。
それにしても,故郷を追われて数千年たつユダヤ民族達がいまだに故郷を見つけられないというのは,悲劇としか言いようがありません。
○ハレのはは様へ
言葉の訳は,本当に難しいと思います。そもそも発想が違ったりするからです。その上,同じ英語でも英国の英語と米国の英語では違った使い方をし,そのまま読むと間違った解釈をしてしまったりします。これは,その国の文化や成り立ち,社会背景の違いなどが影響するからです。でもそうした文化の違いを理解してわかると新たな世界を知ることが出来るので楽しいですね。
○わびすけ様へ
だいぶ最初の問題提起からそれてしまってすみません。わびすけ様の指摘された「人の情けであり大自然の美しさ」は,どこの国に行っても私にとって大切なものです。ほとんどの場合,「再会することがまずない」という条件での交流になります。まさに,「一期一会」です。
そのことは,帰国して茶道を知ることによってより実感しました。具体的には,これまで海外で感じた「一期一会」を茶室で知ることによって,「人の情けであり大自然の美しさ」をさらに深く感じることができました。特に,昨年夏に訪れたフィリピンの調査先の皆様に"Don’t' forget me!"(私のことを忘れないで)と言われたことが懐かしいです。
とはいえ,世の中便利になり,インターネットでやりとりをしている友人達の交流も長い友人で10年以上になりました。国は違えど,同じ時代を一緒に成長するので楽しいです。
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